「ブランドコンセプト」はデザイナーとの「共通言語」という考え方。
2022.4.13/更新:2022.5.18 #ブランディング
デザイナーにデザインを依頼したけれど、イメージしていたものと全く違うものを提案された…。
こんな経験は無いでしょうか?
このようなことが起こると途方に暮れてしまいますよね…。
実はこれを解決する方法が1つあるのです。
それは、ブランドコンセプトを作るという方法です。
コンセプトの前に「ブランド」とついているのですが、ここが肝です。
ただのコンセプトではなく、ブランド化を目指すためのコンセプトを作るのです。
「デザインに不満があるだけなんだけど?」
「ブランド化まで目指すのは飛躍しすぎてない?」
いえいえ、そんな事はまったくありません。
ブランディングってそんなに遠い存在ではなく、
商売をされている方(規模関係なく)すべてが本来行うべきことだと思いますし、
ブランドコンセプトだからこそ解決する理由があるのです。
〈今回の記事ではこんなことを書いています〉
・ デザイナーからイメージしているものと違うデザインが提案されるのはなぜか?
・ それがブランドコンセプトで解決するのはなぜか?
・ ブランドコンセプトとはどうやって作るのか?
目次
イメージしているものと違うデザインが提案される理由
「デザイナーからイメージしているものと違うデザインを提案されて悩んでいる…。」
そんな事を経験されたことはありませんか?
これは、デザインの現場でも本当によく聞く話で、
デザイナー側も、「渾身のデザインを提案したけれど、受け入れてもらえなかった…。」
そういったお客さんとのやりとりがあるのも実情だったりするのです。
デザイナーとのやり取りの例
なぜこういった誰も幸せにならない悲しいことが起こるのか?
1つ例えを出してご説明しようと思います。
こんな架空のやりとりがあったとします。(かなり抽象化しています)
あなた: 「やわらかいものをデザインしてほしい」 と依頼したとします。
デザイナー: 「柔らかいもの…。それなら食べ物で表現しよう。食べ物ならマシュマロだな。
マシュマロを使ったデザインにしよう!」 と、デザインを提案しました。
あなた: 「マシュマロはイメージと違うんだよなぁ…。“空気とか雲”みたいなものをイメージしていたんだけどなぁ…。」
この例えはかなり飛躍したものではあるのですが、
こういった事と似たようなやりとりが、実際にデザイナーとお客さんとの間で起きているのです。
この事例ですと、
あなたは「空や雲」をイメージしてデザインして欲しかったわけです。
しかしデザイナーから提案されたのは、まったく違った「マシュマロ」をイメージしたデザインでした。
最初の段階で「空や雲」と分かっていれば、こんなにかけ離れたイメージにはならなかったはずです。
解決策は「言語化」すること
しかしここで問題があります。
デザイナーがこの「空や雲」というワードを、1度や2度の打ち合わせやヒアリングで引き出す事は、実は至難の業だということです。
それは何故か?
あなたの頭の中で、そのワードがまだ顕在化されていない可能性もあるためです。
これは困りました。
まだあなた自身がこの言葉に気づいていない可能性すらあるのですから、デザイナーはわかるはずがないのです。
現場でよく聞くお客さんの声として、
「デザイナーから提案されるデザインが、イメージしているものと違うのはわかるのだけれど、どう違うか説明できないし、自分自身がどうしたいのかもわからない…」
といった声です。
本音を言ってしまいますと…、
こういった返答をもらったデザイナーは途方に暮れてしまいます。
この状態ですと、
おそらく何度デザインを作り直したとしても、お客さんに納得してもらえるデザインを作る事は難しいかもしれません。
しかし、解決策があるのです。
ではここで、ズバリ解決策をご紹介したいと思います!
それは、
顕在化されていないワード(イメージ)を「言語化」して、それをデザイナーと共有することです。
「いやいや…その言語化ができないから困っているんだよ…。」
そんな声が聞こえてきそうですが…。
実は言語化できる方法があるのです。
ではどうやって言語化するか?
それは「ブランドコンセプト」を作るというものです。
なぜ、ブランドコンセプトを作ることで解決するのか?
そもそもブランドコンセプトとは何か? からまずは見ていきましょう。
会社全体や、事業・サービスや商品をブランド化するために「ブランド戦略」というものを作るのですが、
ブランドコンセプトとは、
このブランド戦略の「中心となる概念」であり、ブランド化するために「目指す姿」でもある。
それがブランドコンセプトなのです。
このブランドコンセプトを決めるまでには、様々なことを整理し、検討し、分析していきます。
それらを最終的にまとめ、言語化することでできあがるワケです。
ブランディングとは、
「ブランドコンセプト」をお客さんとの「接点」すべてで正しく伝えていく活動となります。
そうすることで、時間をかけお客さんの頭の中でブランドとなっていくわけです。
もうお気づきになったかもしれません。
デザインも、この「ブランドコンセプトを正しく伝える手段の1つ」という位置づけなのです。
これらを一貫して「ブランディングデザイン」とも呼びます。
なぜブランドコンセプトで解決するのか?
それは、ブランドコンセプトがデザインの「源」となる言葉だからです。
ブランドコンセプトはデザイナーとあなたとで共有する共通言語となるのです。
具体的なブランドコンセプトの作り方
でもブランドコンセプトってどうやって作るの?
ここが大きな問題ですよね。
実は作り方があるのです。
1〜9まで、順を追って見ていきましょう。
ブランドコンセプトの9ステップ
- 1. パーパスを確認します。(土台になるものです)
パーパスとは、あなたの会社や事業などが、社会において「なぜ存在するのか?」 その存在意義や目的のことです。
- 2. 「1」のパーパスをもとに、今後どんなことをしていきたいか、将来どうなっていきたいかを考えます。
この後、「1」「2」をもとにして「3」以降を進めていきます。
- 3. 自社(あなたの会社や事業や商品サービス)を分析します。
(自社の持つ強みや具体的にどんなコト・モノが提供できるのか?)
- 4. 顧客(お客様)を分析します。
(お客さんが本当に喜んでくれる事は何なのか?)
- 5. 他社(ライバル)を分析します。
(他社の強みや、提供しているものは何か?)
- 6. 自社の強み・良いところであり、且つ顧客が求めているもので、他社が提供していないコト・モノなど「違い」は何かを考えます。
「3」「4」「5」を元に考えていきます。これを3C分析といいます。
- 7. 「6」を念頭に置きながら、具体的なお客様像を作ります。
- 8. 「7」の具体的なお客様像を思い浮かべながら、「6」を元に、具体的にどういったポジションを取るか考えます。
これは、いはば陣取りゲームの陣取りのようなものです。
- 9. 「6」「7」「8」から言語化してまとめていきます。【ブランドコンセプトの策定】
具体的なお客様像を思い浮かべながら、
自社の強みで良いところ、且つ他社と違うところ。これを「目指す姿」として言語化します。
できるだけ短いコピーで表現します。このコピーが「ブランドコンセプト」です。
さらにブランドコンセプトが誤解なく伝わるように、説明文を200~300文字程度にまとめます。
以上を丁寧に確認しながら考えていきます。
これでブランドコンセプトは完成です。
ここまでやってみると、考えや想い・進んでいく方向性などが具体的に言語化されているはずです。
デザイナーと共有する場合は、具体的なブランドコンセプトだけでなく、「1」から「8」までのすべてを共有するようにしてください。
デザイナーがこのブランドコンセプトを体現し、伝えるためのデザインを提案することで、
「デザイナーからイメージと違うデザインが提案される」という問題は解決されるはずです。
まとめ
デザイナーに依頼した際に、イメージと違うデザインが提案された場合の解決法を紹介しました。
少し手間はかかってしまいますが、
デザイナーとの間での共通認識を作ること。
そのため共通言語として「ブランドコンセプト」を作ると解決するという内容でした。
ブランドコンセプトを作ることをきっかけに、ぜひブランディングにも挑戦してみていただけると嬉しいです!
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よろしければご覧ください。
株式会社イットデザイン
伊藤 亜希
グラフィック・ウェブデザイナー
ブランディングデザイナー
デザイナー歴24年目。
大阪から兵庫へUターン就職→起業。
主な受賞歴に、日本タイポグラフィ年鑑入選など。
【営業時間】平日9:30〜18:00
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